平成に感謝して、零陵香を効かせた練香づくり

平成最後の日、平成の世に感謝を込めて、練香を調香しました。
今回メインにしたのは、零陵香という渋い香り。というのも、零陵香はその産地から名前がとられた原料なのですが、そこが「平成」の典拠、『史記』の帝舜にゆかりがある場所なのです。

帝舜は、中国の五帝の1人として称えられている皇帝で、大変忠義に厚い人であったと言われています。
というのも、帝舜という人は、父親、義母、義弟から疎まれ、殺されようとしても、人を殺めるという罪を犯させないよう、あらゆる術を使って生き抜き、常に誠実に、本当の家族のように忠義を尽くした人でした。そして、ついには家族が心を入れ替えたそうです。
また、彼の周りには自然に人が集まり、自然と街ができたとも言われています。そして、先の皇帝も彼の人間性を認め、次の皇帝に指名したということです。

帝舜は、湖南省の九疑山というところに埋葬され、その地は零陵と呼ばれるようになったと書かれています。そこが零陵香の産地です。

帝舜は、皇帝になってからも手腕を発揮し、様々な人材を起用してきました。次期皇帝に指名したのも、自分の息子ではなく、その器にふさわしいと判断した部下の1人であったそうです。

誠実さを持って、周囲の疑いを解き、信頼を集め、人を動かした帝舜。

「平成」の典拠には、そのような物語があったのですね。

果たして、平成の世を生きていた私はどうだったのだろう…と、平成最後の日に、
この零陵香の効いた渋い香りの練香をたいて、少し省みることにしました。

平成30年と数ヶ月。その重みに感謝して、次の時代も誠実に生きていこうと思います。





すずめのおそで ‐ Suzume no Osode -

手作りお香のワークショップのお知らせや、趣味で少しずつ作っているお細工物等をちょこちょこ載せております。 どうぞごゆっくりご覧ください。 I am making Japanese traditional handicrafts, "Osaikumono (bags, pouches, Japanese style patchworks, etc)."