こちらは、先の作品展で展示した作品です。
木箱の内側にほどこした押絵で、
「にほどり」と名付けました。
にほどり(におどり)とは、カイツブリのこと。
葛飾の枕詞として使われています。
「令和」の典拠となった万葉集ですが、その時代、流山は広大な葛飾郡の一部でした。
その葛飾郡を舞台にして詠まれた歌がこちらの歌です。
「にほ鳥の 葛飾早稲を 餐(にへ)すとも そのかなしきを 外に立てめやも」(3386)
(稲を神様に供える祭の期間は、清らかでいるために、男性と接触してはいけないというけれど、愛する人が戸口にいたらどうして外に立たせておけるだろうか。)
若い女性の初々しい恋心がとてもかわいらしい歌です。
その昔、この葛飾の地のどこかに、小さな恋が芽生えていたかと思うと、とてもロマンを感じます。
それに、もし同じ歌を知っていたとしても、
恋を知る前と後では、カイツブリを見かけたときの気持ちが全く異なるのかも…。
そんな気持ちで作った作品です。
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