茱萸嚢(しゅゆのう)

9月9日は、重陽の節句です。
1月1日、3月3日、5月5日など、奇数(陽数)が重なる日は縁起が良い日として、祝われてきましたが、その陽数が最も大きくなる日が9月9日です。
ただし、縁起の良い日であると同時に、この日以降「陽」の力が弱まってしまうため、用心しなければなりません。
そこで昔から飾られていたのが、菊の花と、「茱萸嚢」と呼ばれる匂袋です。

これは、中国の故事に由来するもので、

その昔、恒景という人が、疫病神と対峙した際に、「呉茱萸」の入った赤い裂の袋を肘にかけ、高い所に登り、菊の花の入った酒を飲んだところ、疫病神を退けることができた。

という話(諸説ありますが)に倣って、
茱萸嚢&菊という組み合わせが、日本でも取り入れられたと言われています。

茱萸嚢の「茱萸」は、ぐみとも読め、
日本の飾りには、よくこの袋物を花瓶のように見立て、菊の花と、赤いグミの実を飾っているのをよく見ます。

ただ、茱萸嚢の中に入れる、「呉茱萸(ごしゅゆ)」は、グミの実とは全く異なります。
柑橘系の植物で、形や香りは、山椒のようです。
漢方薬で使われているだけあり、芳しい香りとはいえません…。
ですが、ピリッとした香りは、悪いモノを寄せつけずにいてくれそうです。

今回は、もともとの故事にちなんで、シンプルに、赤の端切れで袋物にしてみました。
でもこの端切れ、ところどころに金が散りばめられているんです✨
インスタにも載せましたが、紐は几帳結びに。
結び方には、幸せを取り込む「入型」と、災い除けの「人型」があるのですが、今回はもともとの故事にちなんで、「人型」にしてみました。

新暦では、菊の季節はまだ遠いのですが、
旧暦ですと、10月中旬ごろと、ちょうど良い季節になります。

まずは茱萸嚢を飾り、旧暦の頃に菊を飾ってお祝いするのも良いかもしれません。

すずめのおそで ‐ Suzume no Osode -

手作りお香のワークショップのお知らせや、趣味で少しずつ作っているお細工物等をちょこちょこ載せております。 どうぞごゆっくりご覧ください。 I am making Japanese traditional handicrafts, "Osaikumono (bags, pouches, Japanese style patchworks, etc)."